風車監督官日報

風車を監督している

3-23

3/23 水曜日 16℃ 小雨 2m/s,ESE

 

数年前によく会っていた女の子が旅先から絵葉書を送ってきた。ルピナスの咲く野原と、遠景に雪の残る山脈がそびえる絵葉書の表面には短く旅を楽しんでいると書かれていたが、俺はそう言いつつ彼女がかつてを思い出し懐かしんでいるように感じられた。

食品加工所の事務室の電話番で、仕事が暇な時にペーパーバックの恋愛小説を読み漁ってはうちへ勝手に置いていった。その後、製品不備の指摘について電話してきた客を口汚くののしったのが理由で解雇され、知らぬ間に町を出たっきり会っていない。顔を思い出そうにももう霧の向こうにいるように曖昧で毎回人相が変わる。よく俺の家の住所を覚えていたものだ。